はじめの第一歩
2004年11月。娘が3歳を過ぎた頃、保育所の発表会に必要で白いハイネックセーターを探しにSATYに行ったのだが、玩具売場でリカちゃん見て「そろそろ対象年齢だね」と買ってきた。着せ替えも無いと寂しいだろう、でもどうせ質なんて分からないだろうから…と、ドレスも数枚買って帰る。
当時、日本製と中国製の違いも知らず(「MADE in〜なんて見ても無い)、ザラスの方が遙かに安いなどとも知らず(笑)、初リカはプリンセスリカちゃん(ピンク)で、キューティーキッズのアメリカンポップと、安いギフトコレクションとを買った。
帰ってみると、下の娘は「○○ちゃんも〜!」と泣きわめくわ、せっかく着せても脱がせるわ、ギフトコレクションのは「可愛くない!」嫌がられるわ…3歳児すら騙せない子供だましな服ってどうよ…仕方ないわね、といそいそと(←この辺でもう危うい)ザラスにもう一体買いに行った。
どうせ本体は増やさないだろうから、セットのを…と「初めてのリカちゃんセット」他ドレス色々を買ってくる。…甘かったよなぁ…まさかそれから本体ばかり買いあさることになるとは夢にも…。
で、家に帰ると。
予想は付いたが、上のが「△ちゃんこっちがいい〜!」(単に目新しい方を取るんだ、3歳児…)と言ったので、上の娘のが初めてのリカちゃん(金髪ストレート)、下のが金髪ウェーブとなり、それなりに「まっすぐのは△ちゃんの、なみなみは○○ちゃんの」と納得していた。
…が。3歳児と1歳半児は、せっかく服買っても着せ替えもせずにすぐ脱がせる。下の娘は靴マニアでせっせと私に履き替えさせろと持ってきていたが、どっちにせよすっぽんぽん…。
母は童心に帰って(笑)いろいろ着せるのだがすぐに脱がされる。まあ、着せることは出来ないが、脱がせることは出来るという、発達に見合った遊び方と言えなくもないが。
で、ストレスの溜まった私は…自分用のリカちゃんを買いに行ったのだった…(この辺でだいぶ危うい)。
娘二人のが金髪なので、区別のため茶髪を選んだ。浴衣リカちゃんいちご&チェリーである。くどいようだが、私は当時日本製とか中国製とかの認識は無かった。母だけ日本製の良いやつを買ったわけでは決して無い(笑)。
さて、時に2005年2月。家の3体のリカちゃんは、私によっていろいろ着せ替えられていた。しかし、ザラスにある数種のドレスを全て買った後は、新しいドレスも出ず、何かこう物足りない。
そこで、ネットで「リカちゃん ドレス」で検索したところ。
アマゾンの「わたしのドールブック」シリーズがヒットしたのだった。
初めての手作り服
前回までのあらすじ:既製品を買い占めた(ってこたぁないが、ネットで古いのを探すという発想が無かった)私は、新たなドレスを探してネットで「リカちゃん ドレス」で検索したところ、アマゾンの「わたしのドールブック」シリーズがヒットしたのだった。
さて、話は私の幼少時に遡る。
たぶん年代的には2代目のはずだが全く記憶に無いが、一応私もリカちゃんを持っていた。
記憶に残っているのは、母手製の布団(当時のものらしく真ん中がサテンぽい赤、周囲を白い綿が囲んでいるタイプ)と、ウェディングドレスと、作ってくれると約束してくれたのに結局作られなかった白無垢の恨みと(笑)、いとこの家にあったくるりとひっくり返るとごちそうが出てくるテーブルくらいだ。
あぁ、背もたれが白いイスもあったっけ。しばらくモンチッチが座っていたが。
幼稚園の頃に、友達の家にでっかいリカちゃんハウスを下げていって遊んだ記憶もあるが…肝心の人形の姿が全く浮かび上がらない…。
ちなみに、実家の母に聞くと、当時の人形は小学生になるときに近所の年下の女の子にあげたとか。
ともかく。
私にとってのリカちゃんイメージは、母の手作り、なのである。
母は裁縫が好きな人で、私の服も結構手作りだったし、機械編みのセーターとかもあったし、子供の頃から裁縫道具は身近にあるものだった。
おかげで小学生の頃にはフェルトの人形を作るのが趣味だったし、手編みのマフラーなる悪寒なものも作ったし、小6の時のクラブは「人形クラブ」だったし…。そして実家のミシンは足踏みであったため、高校の時の家庭科では一人だけ教室の後ろに追いやられている足踏みミシンを使用し、おかげで5人で一つの電動ミシンを交互に使うクラスメイトたちより服が早く仕上がったという思い出もある。
ごちゃごちゃ言ったが、言いたいのはこうだ。
随分針も持ってないが(笑)、型紙さえあれば人形の服くらい自作できるのではないか。
そう私が勘違ったのも無理なかろう。
いそいそとアマゾンでわたしのドールブックNo1と2と6を注文し、実家から当時の(何年前のやねん)フェルトと刺繍糸を取り寄せた。基本的裁縫道具はさすがに持ってきていたが。
さて、届いた本だが、No1はフェルトドレスの本、2と6は布帛の本である。
初心者としてはやはりフェルトから…というか民族ドレスが気に入った…と思ったのだが、やっぱり基本は布帛かしら、と100均に材料を買いに行く。民族ドレスは可愛いが刺繍が面倒なので後回しにしたというのも正直な話だが。
さて、100均のハンカチを使って作ったワンピース、なかなかの出来でしたよ。
手縫いなので全部返し縫いにしてやぼったくがっちり重いとか、面倒になって押さえ縫いを省いてるとか、まあそれはおいといて。
後々考えれば、あのサイズの端切れで100円というのは別に安くも無いというのも棚に上げておいて。
初心者らしく、本に載っているイメージに近いものを探して手芸店にも行った。
No6の下町風とか民族風が気に入ったので…と言うかそんな既成のリカドレスは無かったので新鮮だった…それ用に買ったら。
結果として、それ以外に使えねぇ柄を買ってきて、未だにその端切れが残っているわけだが。
何でこんな柄買ってるんだ、当時の私…。
そして、ニットドレスも作りたいが新品の靴下にハサミを入れることがどうにも抵抗があったので、自分の穴の開いた靴下を切って作った。
履き古した靴下で服かよ、とイヤな気になる人も多かろうが、小さい頃から「もったいない」を叩き込まれた身としては、とてもじゃないがいきなり新品を解体する度胸はなかったのだ。今でも多少罪悪感が残ってるが。
グレイの靴下で鉛筆(笑)では型紙も写せず、適当に型紙を上に置いて適当に切って適当に縫ったら、すっげーぶかぶかで、それを誤魔化すように刺繍糸でステッチを入れて…。
…何故29cmの桜子が着られる服になりますかね…。
まあ、それはともかく、これで私は「靴下として利用できるのに人形服として切り刻む」ことに対する自分の心理的壁をどうにか乗り越えたのだった。
今?…100均のなら、思う存分切り刻んでますよ。
最初で最後のオークション
さて、もそもそと自作服を作っていた私は、仕事の昼休みにもちくちく縫っていた。ある日、同僚がよれっとしているリカちゃんと27cm人形を持ってきた。
同僚曰く、小児科待合いに転がってたリカちゃんとママだが、綺麗になるか、と。
家に持って帰ってじゃぶじゃぶとお湯でシャンプーし(この時点で手足に針金が入っているので錆びないようにせねばならん、という知識は無かった)、擦ると爪に塗っているマニキュアのつもりらしいボールペンの跡以外は、割と綺麗な肌に戻った。
髪をとかし、自然乾燥させ、カントリー風なワンピースを作り、ドロワーズも履かせ…おぉ、見違えるように綺麗に!
…さて、そんなぼろっこ救出作業はともかく。
その、リカちゃんのママと言われた27cm人形であるが、まだリカ初心者(この時点で所有数5)な私の目でも、ママでないことだけは分かった。
金髪ストレートで青いまつげと眉、青い目。
さて、そこで。
私はこれを「…ショコラのでっかい版?高校生リカちゃんっていうのがあるらしいけど、シリーズに高校生ショコラていうのもいるんだっけ?」と認識し、<リカちゃん><27cm><高校生>などで検索した。
その結果、愛らしい高校生リカちゃんの姿を多数見ることになり、「か、可愛いやんけ…ちょっと欲しいぞ」と思ったが、何せ相手はトイザらス限定、しかも発売日からかなり経っていて普通に購入は見込めない…。
ということで。
初めてオークションで落としたい、と思ったのである。
ちなみに、その発端の27cmは、どう見てもティモテであった。
さて、オークションだが、旦那が妙なもん(新日本海フェリーストラップ100円也)を手に入れてるのを知ってたので、それまで興味は無かったがてっきり旦那がIDを持ってるもんだと思ったら…旦那も友達に頼んでいたのだった。
まだオークションのことを何も知らず、そのためにIDを取るのも面倒くさいし、当時新規お断りが多かったし、さくっと旦那に頼んで誰か落としてくれる人を探したのだった…。すみません、代理購入が嫌がられるとは露知らず…。
で。
落札履歴が日経なんちゃらとかお堅いものが多いIDなのに旦那同僚が引き受けてくれることになり、ターゲットを探した。
高校生リカちゃんと桜子である。どっちもトイザらス限定である。
自分でIDを持ってないので履歴も分からず(当時、終了するとオクIDを持ってないと表示されなかった)、どんな値段で落ちてるのかも全く分からないまま、オークション番号と適当な値段を書いて渡す。
最初のメイド桜子は5500円也で全く届かなかった。つか、人形がそんな値段になるとは思ってもみなかった…今なら突っ込んだかも知れないが…。
そこで火が付き、何としてでも残りの桜子は落とす!どうせ真っ裸人形なので安いだろ!と2000円の値段を渡していたが、スッチーの方だったか、終了が21時くらいだったのを、旦那に電話して貰って「2500円に上げて!」と指示した。帰路の車中に迷惑な話である。
この時、誰だか知らないが1円単位で上げてた奴がいて、迷惑だな、おい!とむっとしたのも確かである。今の自分なら、1601円で入札されていたら、1800円とかキリ良く入札したかも知れないが、自動入札でされていたので、最後までこの1円は付いて回ることになった。
ちなみに、2501円となった時点で「3000円にして!」とまた迷惑な電話をしたわけだが。
1円で落とされてたら、泣いてたぞ、おい。悔しくて。
結局、2601円なりで桜子すっちーゲット。
少し後に終了するカフェの方は、やはり同じ面が入札していたのだが、こちらの覚悟を察知したのか(笑)、あまり吊り上げてこず、えーと…1900円くらいだったか。
で、この2体は同じ人が出品していて。
肝心の高校生リカはこの時の反省を踏まえて最初から3500円(色白シャギーは人気なので4000円)という上限で自動入札して貰い、6号、9号、10号をゲットしたのだった。
この3体も一人の出品だったので、5体だが取引相手は2名で、そんなに5件分の迷惑はかけてない…と、思いたい…。
取引とは別に手間賃として計5000円也を旦那に渡して奢らせて、私の初オークションは終わったのだった。
取引を最後まで見守った旦那も「君、オークションに向いてないよ…」と言った。私もそう思う。
「あ〜!こいつ、1円入札した奴だ!負けるか!」と勝手にライバル認定するわ、「たかが100円惜しんだせいで落とせなかったら悔やむ〜!きーっ!」とエキサイトするわ…駄目だろ、やっぱ…。
この後、自分でID取ってでも欲しい!と思ったのは、ワールドリカちゃん10体セットと、高校生リカちゃん全種ってやつだったが、何とか自分の欲望を抑えることに成功したのだった。
もうここまで来ると、意地もあるし、どうせオクやるならあの時からやっておけば良かった…と後悔するのも嫌だし、ということで、今のところオークションに参加する予定は無い。
高校生リカちゃん…今なら日焼けちゃんも突っ込むところなんだがな…はぁ。
TOコレクション及びタバコ臭抜き
さて、初オークションを経験している頃。
旦那が職場で、嫁さんが人形にはまっててさぁ、と話をしたらしく、その結果、新婚のT氏奥さんが「良かったら人形を貰ってくれ」と言うことになった。
一応嫁入りにも持ってきたが、もう卒業したのでいらない、ということらしかった。
もちろん、私は食いついた。
「喜んで、頂きます!」
…で、旦那が仕事帰りにT氏宅に取りに行って…持って帰ったのは、段ボール箱二つ。
いや、正直、なめてました。
自分が『人形にはまってる』とはいえ、たった5体(当時はそれでも多いと思っていた。娘二人に自分一人なら、せいぜい適正数は3体だと…)だったので、まさか段ボールで戻ってくるとは思いもよらず。
「絞りに絞って、数体は自分用に置いておくってことだけど」
と旦那が言うのを聞きながら、段ボールを開ける。
………。
タバコ臭い。
いや、開ける前から凄かったが、開けたらもわっと…もう。
「そういや、T氏も奥さんもヘビースモーカーだっけ」
いや、そういうことは早く…言われてても貰ったかも知れないが…つか、人形って、これ、リカちゃんじゃないし。
頭痛に襲われつつ、目をしばしばさせながら息を止めて人形を取り出していく。
この時点で、リカちゃん以外の区別は付いていなかった私にとって、一番嬉しかったのは高校生いづみちゃんであったという、大変罰当たりな感想を浮かべつつ。
…しかし、まともに人形の顔も見られない。
一応実家の父は昔からタバコ吸いなのだが、近年は空気清浄機を使っていたこともあり、(職場は完全分煙ほとんど禁煙なのだ)煙草の臭いには滅法弱くなっていたのだった。
そこで、私は泣きついた。
誰にって?
…2ちゃんの初心者スレに。
そこ及び誘導先のぼろっこスレで教えて頂いた方法たち。
・服は水洗い。
・髪の毛はぬるま湯で洗う。
・ひょっとしたらアルコールも効くかも。
・数体ずつ密封した容器に入れ、トイレットペーパーを突っ込む。
・同じく容器に炭を入れる。
・風通しの良い場所に置いておく。
・風呂場にサウナ状態で置いておく。
ありとあらゆる方法を試したので、すでにどれが効いたのかさっぱり分からないが、私がやった方法を書いておく。
まず、全部脱がせる。(この時点で、着ている服からどの人形か調べようというのは諦めた。どうも違うカスタムされてる気もしたし)
で、服と靴にはファブリーズファブリーズファブリーズ。
それでもまだいまいちだったので、洗濯機でがんがん洗う(痛むので薦めない)。この時点で服は割と臭いが消えていた。
本体及び髪もファブって、アルコールで拭いて、風呂の蓋を開けっ放しで人形を置いておいて…。
そして、衣料用のプラスチックの箱に半分ずつ人形を立たせ、トイレットペーパーを5個ずつと、脱臭剤を入れ蓋をして数日。
トイレットペーパーに臭いが付いたら入れ替えて…。
1週間後。
顔を近づけたらまだ臭うが、何とか顔を見ることは出来るようになったのだった。
割とSAJボディは臭いが取れやすくて、普通の人形手足がなかなか取れない感じだった。
それに、実はこの頃、我が県は大渇水に見舞われていて、自分の髪を洗うのですら遠慮せねばならん状況だったので、人形の髪をシャンプーするなどとは水の無駄遣いって感じで、髪はべたついていたがあんまり洗って無いのだ。
それでも、風通しの良いところで並べているうちに、臭いは気にならない程度に落ち着いている。
服も脱がせてすっぽんぽんのまんま並べていたので、旦那に「ちょっと不気味なんだが」とは言われたが(笑)。
ということで、貰ってから随分経ってから人形を手に持ってネットで調べだしたので、実はすっげーお高い人形(ピンクハウスエクセリーナ3万数千円…)が混じっているのに気づいたのも、だいぶ後になってのことになった。
やべぇ、5000円程度の御礼じゃ安かったか!?と今更ながら思ったのだった…もっとジェニフレに興味のある人ならお宝満載だろうし。いや、ようやく有り難みが出てきたが。
と言うか、これを手放して、手元に置いておきたい人形って何だろう、と気にはなったのだが、旦那の職場が消滅して(笑)、T氏も他県に引っ越したので、奥様とは話もしないままお別れとなったのだった。
地方行政の破綻
さて、リカちゃん5体に対して、いきなり興味外だった27cmが33体(いや、中には22cmも混じってたが)増えた私の心理は、たぶん「我が勢力が文化攻撃により侵食されるのは許せん!」といったところだったのだろう。
ここでトイザらスが昨年の浴衣リカちゃん他を500円に値下げしたこともあり、ここからリカ増殖が始まったのである。
まずは500円たち2体ずつ(植毛の練習してやろうと思って…)、それ以外にも気になったリカちゃんを集めるが、トイザらスでは限界がある。古いのが消えていっているのだ。
オークション禁止の誓いのため、そこで私はスクーターの旅に出るのである。
まあ、一応ヤフー電話帳で玩具店及び玩具卸を調べては行ったが。
さて、そこで、表題である。
我が県は保守王国であり古典的政治が行われている。すなわち、いわゆる箱もの公共事業で振興しようってやつである。
時にバブル絶頂期。
港付近を(無理矢理)賑わい創出などと銘打って大開発が行われていた。広大な更地に、巨大なタワー。
県政が言うには、この西日本一背の高いタワーをシンボルとして、周囲にはビル群、そこにはどんどん企業が進出し、ウハウハ。
港の再開発では、1年に1隻入るか入らないかという何トン級かの船も入れるように多額の金がつぎ込まれた。
ま、皆さんご存じの通り、バブルは弾けたのである。
予想通り、そんなでかい船は来もしない、ウン億円の釣り堀、と揶揄される港が出来、更地は更地のまま置き去りにされ、タワーは途中で九州地方だったか中国だったかの何とかタワーに追い越されたので更に数億の金を出して増設して(何の意味があるんだ)…中身はすかすか。
それでも無理矢理税金を投入して『賑わい創出元年』などと言って色んなイベントが行われた。
が、バブル弾け後の低迷期に、新しい企業が進出してくるわけがない。
すかすかなタワーや周囲土地に、県は公共施設を移動したりもしたが、それでも赤字だけが増えていく。
ちなみに、我が県で最も立派な建物は県庁であると言われ、たとえば音楽ホールが最も立派な県なら『文化が充実した県』、スポーツ施設が立派なら『スポーツに力を入れた県』…などと言われる中、「この周囲が田舎にも関わらず県庁だけが立派なところがぴったり」と「県庁の星」のロケ地に選ばれ、「これを機会に宣伝して観光を…」などと言っているが、馬鹿にされてんだよ、嘲笑されてんだよ、気付よ、県庁。
で、だ。
そんなすかすか空室状態改善のために県が行ったのは、<家賃を減額する>処置だった。
すると、今まで中心街であった場所から色んな企業が港地区に移っていく。
もちろん、その家賃差額は我々の税金から出ているのだが。
ここで、家賃が安いから、と県外から企業が進出したなら、まだしも『賑わい創出』になったかも知れないが、実際は、単に中心街から移動していっただけである。
まあ、移動した人たちも相当苦労しているようだが。
何せ周囲は無理矢理作り上げられた<賑わい地区>である。周囲には観光客向けお洒落な喫茶店や無駄に高いレストランなどしか無い。古くから発展した中心街の、ちょっと路地に入ったら一膳飯屋だの100円うどん屋がある場所ではないのである。
さて、移動した人たちも大変だが、残された人も大変である。
今話題になっているシャッター街である。
都会はどんどんプチバブル状態らしいが、田舎地方都市は中心が寂れる一方なのである。
かつて色んな店が埋め尽くしていた商店街は半分以上がシャッターが降りた閉店状態となり、人通りは減り、更にやっていけなくて店が減り…。
これで県政は「サンポート地区(港)の賑わい創出は成功した」なんて言ってるんだから、臍が茶を沸かすわ。本気でそう思ってるのか、目を逸らしてんのか知らないが。
さて。
ようやく人形の話に戻る(笑)。
かつて賑わっていた中心商店街は、駅から延びる道に幾つか玩具屋があった。
久々に行ってみると、ほとんどが閉まっている中、ぽつんとやっている店があったのである。
昔は店頭で、きゃんきゃんと犬の人形が吠えていたものだが、今は静かなものである。
見るからに、色褪せした商品たち。
奥で細々と遊戯王カードが売られているのが唯一新しそうな感じか。
まあ、そんな店を想像していただきたい。
そこに入ると、お客は私一人である。店の人がすかさず寄ってきて、「何かお探しですか」と聞く。
「あ〜、まあ、リカちゃんを…」
ぼそぼそ言うと、すでに棚にすらなく(笑)、階段の壁に並べられているのに案内される。
凄いよ、古いよ。
そこで私が買ったのが、キティちゃん限定版、リメイクデニム、プリティハート、スマイルリカちゃん(ご挨拶)である。今なら中国製は買わなかったかもしれないが、この時「この古いリカちゃん、今買わないともう二度と手に入らないかも!」と思ってつい。
埃を被っていても、かつて付いていた値札(思いっきり定価)そのまんまな会計という、いっそ清々しいほど堂々とした店である。
「倉庫に3万円の大きな箱のリカちゃんもあるので、またいらして下さいね」と愛想良く言われつつ、私は意気揚々と帰ったのだった。
他にも車で30分ほどの位置にある店では、『人形の○○』という名前だったためてっきり雛人形とかの店だと思いこんでいたのが実は玩具屋で、ここは比較的古いのは安く値付けしてあって、東京みゅうみゅうリカちゃんとかプレゼントリカちゃん、カラーチェンジリカちゃんなどを買った。
大きめのスーパーに行ったり、めぼしい百貨店の玩具コーナーを回ったり…頑張ったよ、私。
オクで買うよりも、充実感がありますとも。ええ。
たぶん、他の市の<中心商店街>も似たような状況だと思われるので、一度玩具屋巡りに行きたいと思いつつ、なかなか行けてないのだが、秋に法事があって西の方に行くので、ハローマックには行ってみたいと思っている。
なお、数ヶ月後、上記のぽつんとやってる玩具屋に行ったら、1910年代リカちゃんがいたので、速攻お持ち帰りした。3万円のリカちゃんはリカちゃんアルバムで私の愛する22cmリカちゃんでは無かったので(実はワールドリカちゃんではあるまいかという淡い期待も抱いていたのだが)、買わなかった。ジェニーの古いのも並んでいたので、15歳ジェニーを、足がまっ黄色で定価にも関わらず買ったりした。
更に数ヶ月後。
行ってみると、リカジェニのスペースは消え、そこにはブライスが並んでいたのだった…意外と時代を見ていたな…。
まあ、何だ。
シャッター街になるのは、絶対政治が間違っているとは思うが、古い取り残された玩具屋は嬉しい時もあるし、案外したたかだったりもするのである。